巨大物流ターミナルである「羽田クロノゲート」
羽田空港から近いという特性から、陸・海・空の「スピード輸送ネットワーク」を構成。
家電製品の修理・医療機器の洗浄・海外からの商品の手続きなどを行うなどの、高度な「付加価値」の提供。
それらを一体化させたものが、日本最大級の物流ターミナル「羽田クロノゲート」です。
物流ターミナルの役割
よく皆さんも耳にする「物流ターミナル」
しかし、実際何をやっているか?と聞かれて、ぱっと答えられる方はあまりいないでしょう。
今回見学した物流ターミナル「羽田クロノゲート」においては、 集められた荷物を行先ごとに仕分ける作業と 修理・医療道具・通関・印刷などの「付加機能」の役割などを果たしています。
仕分け作業は、上の図のようなベルトで仕分けを行い、「羽田クロノゲート」の設備ですと、1時間で最大48000個荷物を仕分けることができます。
「付加価値」の面では先ほども紹介した、修理・医療道具・通関・印刷などを行っており、「羽田クロノゲート」の場合、企業向けパソコンの初期設定まで行っているようです。
物流の「心臓」、羽田クロノゲート
「羽田クロノゲート」はヤマト運輸の掲げる「ゲートウェイ構想」と呼ばれる、物流システムの中核を担っています。
図のように「ベース」と「ベース」の間に「ゲートウェイ」と呼ばれる施設を作ることによって、今まで夕方に一回だけだったベース間の輸送を増やし、効率良く、一日に何度も遠くへ荷物を運べるようになりました。
現在、ベースは各都道府県ごとに数カ所、ゲートウェイは日本に3箇所あります。
「羽田クロノゲート」見取り図
仕分け作業
「羽田クロノゲート」では、上の図のような感じで、仕分け作業が行われています。
まず上の図の左上のほうから流れてくる荷物は、この仕分け作業を行っているフロアよりも上で流通加工された荷物です。
流通加工とは、荷物の付加価値を高めるために、検品や通関作業などが施されたものです。
後の項目で詳しく触れておきますが、「羽田クロノゲート」の場合、付加価値を高めるために、手術品の洗浄・印刷・企業向けPCの初期設定などを行っているようです。
また図の左下では、宅急便センターから輸送されてきた荷物の行き先を、スキャナーで読み取っているところです。
実際にチームのメンバーで見てみたところ、荷物がスキャナーの下を通るたびに、赤く光り、瞬時に荷物の行き先情報を読み取っていました。
また、流れてきた荷物を安全に載せていく「セル」と呼ばれているものには、ベルトが巻き付けられており シューターなどに 荷物をやさしく送る役割を果たしたり、他のコンベアーから流れてきたにもつの位置を、セルの中央に自動で補正する機能 などがあります。
実際に見学した際に、「セル」を間近で見てみましたが、遠くから見るよりもはるかに大きいものでした。
付加価値機能について
「羽田クロノゲート」では、ただ単純に運ばれてきた荷物を仕分けする作業だけでなく。「付加価値機能」というものがあります。
物流においての「付加価値」とは主に、物が輸送中などにおいて流れる過程で、新たな価値を付加することです。
しかし、こんな説明ではいまいちイメージが付きにくいことでしょう。
そこでいくつか例を挙げます。
例えば、あなたが持っているテレビが壊れてしまった時を想像してみてください。テレビは日常的に使うものの一つなので、一刻も早く使えるようにしてもらいたいと思われているのでしょう。
まずはメーカーにテレビが壊れてしまったことを問い合わせます。すると今度はそのメーカーが(今回は例として)ヤマトにお客様からお預かりした製品を引き取るよう依頼します。
その後の流れとして、従来の場合は、ヤマトがその製品を別の修理工場に届け、さらに修理工場から戻ってきた製品を再び受け取り、さらにそれをお客様の自宅にお届けするという過程が必要でした。
しかし「付加価値機能」を働かせることにより、(今回は例として)羽田クロノゲート内で修理できる人材・設備が整っていることにより、修理工場へ輸送する手間が省け、お客様にとってはいち早く修理品が届き、物流業者にとっては、輸送費を削減することが可能です。
羽田クロノゲートにおいての付加価値機能は他にも、クロスマージ、医療機器の洗浄・メンテナンス、キッティング、アッセンブル、メンテナンス、修理、スピード通関、保税、ローカライズ、オンデマンドプリントなどがあります。
地域への貢献
ここまで読んでくださり、いかにして「羽田クロノゲート」が物流において貢献しているか、お判りいただけたと思われます。
しかし、「羽田クロノゲート」は物流に貢献しているというだけでは終わりません。
実は、「羽田クロノゲート」は、上の図に示されているような、地域への貢献なども行っているのです。
このような活動を通じ、周辺地域などとの共生を目指しているそうです。
また、これらの施設は周辺地域の住民以外もご利用することができるようです。
- 荷物を素早く、正確に仕分けることができる設備等が整っている。
- 「付加価値機能」を行っていることによってもたらされる、お客様と物流業者にとってのメリット
- 地域貢献を行うことによる、周辺地域との共生
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